第三章 自社メディアでデジタルマーケティングを開始する
3-1 Webサイトの種類と目的
Web サイトを運用するにあたって、目的と役割の把握が重要です。種類や目的を理解していれば、コンテンツ作成や検討が適切に考えられます。
Webサイトの種類
企業が運営するWebサイトには、以下の種類があります。
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コーポレートサイト:企業や事業紹介が目的。認知度の向上と信頼獲得を目指します。
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サービスサイト・ブランドサイト:商品やサービス紹介が目的。購入促進やブランディングに効果的。
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ブログ・記事サイト:情報発信による認知拡大や集客が目的。販売促進にもつながる。
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ポータルサイト:検索、天気予報などの幅広いコンテンツを利用できるサイト。集客や顧客ポイントの強化に活用される。
Webサイトの目的を評価する指標
Webサイトの運用は企業の収益向上が目的です。その達成度を評価するために、KGIとKPIを設定します。
ECサイト
「リピート率」「考慮」「新規購入数値」「リピート率」「顧客比率」など、売上に関わる指標をKPIに。
認知・集客目的のサイト
「訪問数」「ユーザー数」「平均滞在時間」など、アクセス指標をKPIに。
販売促進サイト
「資料請求数」「問い合わせ技術」「成約率」など、アクションに関わる指標をKPIにします。
| まとめ |
| WEBサイトには認知拡大やブランディング、購買促進など様々な目的が存在する |
| WEBサイトの種類や特徴を把握し、目的を明確化することが大切 |
| WEBサイトの目的を明確化することで、WEBサイトの運営を効率化できる |
3-2 WebサイトにおけるUI/UXとは
UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)は、どちらもWebサイトの使いやすさや満足度に直結する重要な要素です。言葉は似ていますが、それぞれ役割と意味が異なるため、違いを正しく理解することが大切です。
UIとUXの違い
UI(ユーザーインターフェース)は、ユーザーとWebサイトの接点となる「見た目」や「操作方法」を指します。たとえば、ボタンのデザインやフォント、色づかい、レイアウト、ナビゲーションメニューなど、ユーザーが実際に目にする部分や触れる部分すべてがUIです。
一方で、UX(ユーザーエクスペリエンス)は、ユーザーがWebサイトを利用することで得られる体験や感情、印象を指します。
「このサイトは情報が探しやすい」「操作が直感的でわかりやすい」「手続きがスムーズだった」といった、使ったあとの感想や満足度がUXです。
逆に、「どこをクリックすればいいかわからない」「情報が見つかりにくい」などのストレスや不便さもUXの範囲に含まれます。
つまり、UIはUXを構成する一部分であり、見た目や操作性を整えることで、UX全体を向上させることができます。ただし、UIが整っていても、サイト全体の流れや機能が悪ければUXは低下してしまうため、両方の視点が重要です。
UX改善によるWebサイトへの影響
インターネット上には無数のWebサイトが存在し、ユーザーは常に比較しながら利用しています。そのため、自社のWebサイトを「また使いたい」「使いやすい」と感じてもらえるような体験(UX)を提供しなければ、競合に埋もれてしまうリスクがあります。
UXを改善することによって、次のような効果が期待できます。
- 顧客満足度の向上
スムーズな操作やわかりやすい情報設計により、ユーザーはサイトに対して好印象を持ちます。 - コンバージョン率(成約率)の向上
ストレスなく目的を達成できるため、資料請求や購入といった行動につながりやすくなります。 - リピート率の向上
利用体験がよければ、「またこのサイトを使おう」という心理が働き、再訪問が促進されます。 - ブランドイメージの強化
使いやすいサイトは、企業やサービスに対する信頼感や好感度を高めます。 - SEOへの好影響
ユーザーの滞在時間や直帰率がSEOに影響を与えるため、UX改善は検索順位の向上にもつながります(詳細は3-5章で解説)。
継続的なUX改善が鍵
Webサイトは一度作ったら終わりではなく、ユーザーの行動やニーズを分析し、継続的に改善していくことが求められます。
「ユーザーが目的の情報にスムーズにたどり着けるか」「操作は直感的か」「表示速度は問題ないか」など、定期的にサイトの課題を洗い出し、改善を続けることが、結果としてビジネス成果につながります。
| まとめ |
| UIとUXは異なるものだが、切っても切り離せない関係 |
| 数多くあるWEBサイトの中から閲覧してもらうにはUXの改善が不可欠 |
| UIを改善することが顧客満足度が工場し、リピーターの増加が期待できる |
3-3 Cookie と CMP(同意管理プラットフォーム)による同意管理
インターネットを利用する際、多くのWebサイトはユーザーの情報を収集しています。
その中心的な役割を果たすのが「Cookie(クッキー)」です。
そして、これらの情報の収集・利用においてユーザーのプライバシーを守るためのツールが「CMP(同意管理プラットフォーム)」です。
ここでは、Cookieの基本的な仕組みと、CMPの重要性と役割について詳しく解説します。
Cookieとは何か?
Cookieは、Webサイトを訪問したユーザーの情報を、ユーザーのブラウザに一時的または長期的に保存する仕組みです。以下のような情報が保存されます。
- サイト訪問履歴
- ログイン情報(IDやパスワード)
- 購入履歴
- 言語設定や表示のカスタマイズ情報
これにより、ユーザーが同じサイトを再訪した際に、スムーズにログインができたり、前回の利用状況が保持されたりと、利便性が向上します。一方で、これらの情報は第三者(広告会社など)が利用するケースもあり、個人情報の流出やプライバシー侵害が問題視されるようになりました。
Cookieの利用規制の潮流
Cookieの利用に関しては、世界中でプライバシー保護に関する法整備が進んでいます。代表的な法律には以下のものがあります。
- GDPR(General Data Protection Regulation)/欧州一般データ保護規則
- CCPA(California Consumer Privacy Act)/カリフォルニア州消費者プライバシー法
これらの法規制では、ユーザーの明確な「同意」がない限り、個人情報を取得・利用することを制限しています。そのため、多くのWebサイトでは、訪問時に「Cookieバナー」や「同意ポップアップ」を表示し、ユーザーからの許諾を求める対応が標準になっています。
CMP(同意管理プラットフォーム)とは?
CMP(Consent Management Platform/同意管理プラットフォーム)は、ユーザーの個人データ取得やCookieの利用に関する同意を管理・記録するためのツールです。具体的には、以下の機能を提供します。
同意の取得と管理
・ユーザーがCookieの利用に同意するかどうかを選択できるバナーやポップアップを表示します。
・同意・拒否の選択は、利用目的ごと(例:広告、解析、機能向上など)に細かく設定可能です。
・同意の履歴を記録し、後から確認・変更できるようにします。
同意情報に基づく動作制御
・ユーザーが同意した範囲に応じて、広告タグや解析タグの実行、Cookieの発行をコントロールします。
・「ゼロクッキーロード(Zero Cookie Load)」機能では、ユーザーの同意が得られるまで、一切のデータ収集・Cookie発行を停止します。これにより、法規制に違反するリスクを大幅に軽減します。
CMP導入のメリットと注意点
【メリット】
- 法令遵守(コンプライアンス)
- GDPRやCCPAなどのプライバシー法に準拠でき、違反による高額な罰金を回避できます。
- ユーザーの信頼獲得
- プライバシー保護を重視する姿勢をアピールでき、企業イメージやブランド価値向上につながります。
- データ品質の向上
- 正当な同意に基づいたデータ取得ができるため、データの信頼性が高まります。
【注意点】
- 導入・運用コスト
- 有料のCMPツールも多く、初期導入費やランニングコストが発生します。
- UXへの影響
- Cookieバナーがユーザー体験を損なう可能性があるため、表示タイミングやデザインの工夫が重要です。
| まとめ |
| Cookieは、インターネット上の行動履歴などの情報を保存する仕組み |
| CMPは、ユーザーのデータ収集や利用に関する同意を得るためのツール |
| CMPは、個人情報保護やユーザーの信頼獲得の利点があり、注目されている |
3-4 検索エンジンとは?
検索エンジンは、Googleなどのサービスのことを指し、検索ボックスに入力されたキーワードに関連する情報を、インターネット上のたくさんのWebサイトから探し出して表示するしくみです。
検索エンジンは、ただ情報を見つけて表示するだけでなく、「わかりやすく」「すばやく」「正確に」ユーザーが本当に求めている情報を届けることが求められています。
そのため、検索結果の精度を高めるための技術は、今も進化を続けています。
Googleが検索結果を決める3つのステップ
日本で多く使われているGoogleの検索エンジンは、主に以下の3つのステップで検索結果を決めています。
① クローリング(情報を見つける)
まず、Googleの「クローラー」と呼ばれるロボットが、インターネット上を巡回してWebページを見つけに行きます。
このクローラーは、ページ内のリンクをたどりながら、次々と新しいページを発見していきます。
つまり、クローラーに見つけてもらわない限り、そのページは検索結果に表示されません。
新しく作ったページは、なるべく早くクローラーに見つけてもらえるように工夫する必要があります。
② インデックス(データベースに登録する)
次に、クローラーが集めたページの情報を、Googleのデータベースに登録します。これを「インデックス」と呼びます。
この登録がされていないと、どんなキーワードで検索されても、そのページは出てきません。
そのため、検索エンジンがページの内容を正しく理解し、登録しやすいように、わかりやすい構成でページを作ることが大切です。
③ ランキング(表示順位を決める)
最後に、インデックスされたたくさんのページの中から、検索されたキーワードと関係の深いページを選び、検索結果にどの順番で表示するか(順位)を決めます。
検索結果の上に表示されるほど、多くの人の目に留まりやすくなります。
この順位を決めるしくみは「検索アルゴリズム」と呼ばれ、200以上の評価項目があると言われています。
とはいえ、評価基準ばかりを気にしてページを作るよりも、「ユーザーにとって本当に役立つ情報とは何か」を第一に考え、良いコンテンツを作ることが何より大切です。
| まとめ |
| 検索エンジンは、ユーザー情報を「簡単に」「スピーディーに」「正確に」を提供する |
| 「クローリング」「インデックス」「ランキング」の3つで検索結果を決定する |
| ユーザーにとって役立つ情報を考え、良質なコンテンツ作成に努めることが重要 |
3-5 SEO(検索エンジン最適化)とは?
SEOとは、「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略で、Googleなどの検索エンジンで、自社のWebサイトが検索結果の上位に表示されるように工夫することを指します。
たとえば、ユーザーがGoogleで「○○ 方法」と検索したときに、自分のサイトが1ページ目に表示されれば、アクセス数がぐんと増えます。
このように、検索結果で目立つ位置に表示されて、より多くの人にWebサイトを見てもらえるようにする工夫を「SEO対策」と呼びます。
SEO対策の主な3つの種類
SEO対策には、大きく分けて次の3つの種類があります。
① 内部対策:サイトの中を整える
まずは、自社のWebサイトそのものを整えることが大事です。これが「内部対策」です。
内部対策が不十分だと、Googleのロボット(クローラー)がうまく内容を読み取れず、検索順位が下がる可能性があります。
主な内部対策の例:
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内部リンクの最適化
→ 関連するページ同士をリンクでつなげると、ユーザーもクローラーもサイト内を移動しやすくなります。 -
パンくずリストの設置
→ ページがサイトのどこにあるかを表示する仕組み。構造が分かりやすくなります。 -
URLの正規化
→ 同じ内容のページが複数あるときに、「このURLを評価してね」とGoogleに伝えることで、重複による評価ダウンを防げます。 -
画像のファイル名とaltテキストの工夫
→ 画像にわかりやすい名前や説明を付けると、画像検索でも上位に表示されやすくなります。
こうした工夫により、Googleにとってもユーザーにとっても「わかりやすいサイト」になります。
② 外部対策:他のサイトから評価をもらう
次に重要なのが「外部対策」です。
Googleは、他のサイトからのリンク(被リンク)を“信頼の証”のように考えています。
多くの人からリンクされているページは、「価値がある」と評価されやすく、検索順位も上がります。
そのため、他のサイトから自然にリンクされるような、役立つ・信頼される情報を発信することが大切です。
③ コンテンツSEO:良い記事をつくる
3つ目は「コンテンツSEO」と呼ばれる方法です。
これは、ユーザーが知りたいと思う内容を、わかりやすく、丁寧にまとめた記事を作って公開することです。
検索エンジンの仕組みを意識することも大事ですが、それ以上に「読んだ人が満足できる記事」を作ることが、結果的にSEOにも強くなります。
| まとめ |
| SEO対策を行うと、検索結果の上位に表示されやすくなる |
| SEO対策のポイントは「内部対策」「外部対策」「コンテンツSEO」 |
| 内部対策として、WEBサイトの構造やHTMLのタグの最適化を図る |

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